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子どもの見取り

「知ってもらい、評価してもらい、関心を持ってもらえる」そんな環境づくりをすることで、学校の雰囲気は大きく変わります。学習、好奇心、独創性を重視した安全なコミュニティで、生徒がKnow、Value、Careされていると感じると「自分をベストな状態にしていられるようになる」と言います。これは、私の務めている学校で繰り返し話されていることです。

インターナショナルスクールでの「見取り」

日本の学校ではここ数年「子どもを見取る」ことに焦点が当てられ、子どもたちの学習環境を変えてきました。インターナショナルスクールでも同様のことが行われています。教育プログラムとして導入されているのが、Social Emotional Learning(SEL)です。日本語では「社会性と情動の学習」と訳されています。このプログラムを通して、以下の5つのスキルを育てることができます。

  • 感情を認識し、管理する 「自己認知能力」
  • 他者への配慮 「他者理解能力」
  • 適切な意思決定 「責任ある意思決定能力」
  • 倫理的に、責任を持って行動する 「自己マネジメント能力」
  • ポジティブな関係を築き、ネガティブな行動を避ける。 「関係性維持構築スキル」

日本語での説明は、日本SEL推進協会のウェブサイトが最も分かりやすく説明をしてくれていますのでそちらをご参考ください。

ここでは、インターナショナルスクールで実践されているSELの授業について御紹介しましょう。

Awareness

上記のスキルについて教えるときに、子どもたちには、まず「Awareness(認知)」とは何か、ということを子どもたちに考えてもらいます。次のビデオをはそれを考えさせる大きなヒントになります。みなさんも、まず無心でこのビデオを御覧ください。

質問は、「白チームが何回パス回しを行うか。」です。

どうでしたか?答えは「13」。

答えられましたか?

でもその次の質問が大切でしたね。

「みなさんは、あの熊に気付くことはできましたでしょうか?」

実は、あのパス回しをしているグループの間を着包みの熊がダンスをして横切っていくのです。

それでは、気づいた人も気づかなかった人も、実生活における「クマ」について考えてみましょう。」。。。というような感じで授業を進めていきます。子どもたちはそれぞれ、Awareness(認知)について考え、話し合い、上記のスキルを身につける準備をしていきます。

Open Session

Open Sessionという手法もSELを身につける授業としてしばしば行われています。Open Sessionは、学生同士が、悩みや問題に対するフィードバック、サポート、アドバイスを伝えあうことができます。知恵、アドバイス、サポート、励ましを通して、友達の日常的な問題に対し、健全な解決策に導くを目的にしています。

  • 学校生活、友情、家族、関係
  • お祝いと喜び、たのしかったイベント
  • チャレンジ、心配、懸念、アイデンティティ

などなどを学生たちは思い思いに、カードに書き込みます。学生たちから出てくるコメントは以下のようなものがあります。

「私は宿題やキャンパス外でとても負担を感じています。」
「私は、先生からストレスを感じることが多いです。先生が私一人に向けて注意をしているように感じてしまいます。」
「両親がすごいけんかをしていました。ストレスを感じています。どうすればよいですか?」
「夜、よく寝られていません。 日中はとても疲れています。 いろいろ試してみたのですが、どれもダメでした。」

カードに名前を書くかどうかは、以下のような選択肢を与えられます。

  1. 無記名
  2. 名前を書く。その名前は先生に読まれる。
  3. 名前に◯をつける。その名前は先生に読まれない。
  4. 星をつける=緊急なので、必ずこのカードを読んでください。

先生はそれらのカードを読み上げます。

次は、子どもたちは、赤・青・黄のカードを持ち、解決策を探っていきます。

ルールはシンプルです。

  • 敬意を払い、積極的に聞く
  • しっかり参加する
  • 秘密を守る

カードの色の持つ意味合いは、以下のとおりです。

  • 赤 = サポートと励まし
    例:「私はこの人が◯◯◯と感じられるようになったらいいなと思います。」
      「それはとても大変そうですね。私の心はその人によりそっています」
      「私は、あなたのためにここにいますよ。」
  • 青 = 知恵、アイデア、考えられる解決策
    例:「だれかに話してみることをおすすめします。」
      「このような経験をしたとき、本当に助けになったのは◯◯◯です。」
      「新しい見方や異なる方法があるかもしれません。」
      「私のお母さんはいつも私にこう言ってくれます。◯◯◯」
  • 黄 = 明確にしたい
    例:「その人が、◯◯◯な状況であるのは、理由があるように思います。」
      「たぶんそれは、◯◯◯の可能性があります。」
      「◯◯◯がどういうことを意味しているかちょっとわかりません。」

子どもたちははそれぞれの問題に返答していき、問題が解決したようであれば、次のカードを読み、それを繰り返します。

まとめ

インターナショナルスクールの「子どもの見取り」は、日本の学校で行われていることと共通することが多くあります。お互いに思いやりを持って接することの大切さがどんな国に行っても変わらないものですね。

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